最近は田んぼにレンゲ草を植える農家も少なくなり、新潟県内ではめったに見ることができなくなったピンクの花畑。この写真の場所は旧吉川町。新潟県内のほかの場所では十年以上見ていない。珍しく出会ったレンゲの花畑に原田泰治さんの絵や唱歌「故郷」の作者高野辰之の出身地長野県の豊田村に行った時の光景が浮かぶ。農業をしたこともない私でも懐かしい風景だ。他県では、たとえば富山県などでは北陸自動車道を走ると遠目で何箇所も発見できたりするが、新潟は近代的な農業が進みすぎたせいだろうか。景観植物的な面もあるし、日本の原風景のひとつなので少なくなったのは寂しい。久しく見ることのできなかったこの風景に安らぎを得たのは個人的な郷愁だけではないような気がする。人の遺伝子には昔からの風景に安らぎを感じる因子があるのかもしれない。
PENTAX645Z+39mm 1/20秒 f:18
©️photo by Nakamura Osamu