最近は田んぼにレンゲ草を植える農家も少なくなり、新潟県内でもめったに見ることができなくなったピンクの花畑。この写真の場所は旧吉川町。新潟県内のほかの場所では十年以上見ていない。極めて珍しく出会ったレンゲの花畑だ。他県では、たとえば富山県などでは北陸自動車道を走ると遠目で何箇所も発見できたりするが、新潟は近代的な農業が進みすぎたのだろうか。景観植物的な面もあるし、日本の原風景のひとつなので少なくなったのは寂しい。久しく見ることのできなかったこの風景にホッと安らぎを得たのは個人的に懐かしいという気持ちだけではないような気がする。稲作が始まってからこのような風景が春の野を彩り、私の遺伝子にも定着しているのかもしれない。
photo by Nakamura Osamu