634メートルの弥彦山の駐車場付近に植えられているガクアジサイの花が佐渡を望む梅雨空で見頃を迎えました。標高があり風が強い場所なので、下界よりも半月ほど遅い見頃を迎えています。特に梅雨の頃は稜線沿いが雲に覆われ、頂上付近の森が幻想的な風景になることも多くお勧めです。この弥彦山の標高は低いとはいえ、内陸の山とは違う理屈で激しい天候になることもあります。逆に考えれば、それが写真の撮影においては滅多にない気象条件となり得ます。
弥彦山は海と陸の境界にあるため、気象の変化の影響も受けやすい場所です。20代の頃、ここにアンテナを置くテレビ局の工事用の資材を運ぶための歩荷バイトを頼まれたことがありました。仲間たちと共に40キロの背負子を何往復かしていた際、にわかに生暖かい風が吹き始め、空を見上げたら山が囲まれるような稲光に驚いて先を急いだ経験があります。その時の様子はまるで焼き物の釉薬による貫入のようで・・・と書いてもその時の凄さが伝わりませんね。真っ暗な全天空が割れ、空の破片が降ってくるのではないかと思うほどの凄まじい体験でした。その後40キロの背負子を担いだまま急坂を駆け上がり、レストハウスのひさしの下に駆け込んだ瞬間目と鼻の先の茂みに雷が落ちた時には、運が悪ければ自分たちにも落ちたかもしれないと思ったものです。
EOS5DMarkⅣ+24mm 1/50秒 f:10
©️photo by Nakamura Osamu