ハザ木の真ん中を十字に仕切る畔に佇み作業の手を休める。朝夕の気温が下がり始める初秋には広々とした新潟平野にも時々霧が発生する。霧の中で朝日が登りはじめた。まわりの田んぼのコシヒカリは風でなぎ倒されているが、もともと倒伏に強い種類なので却ってこの気温差が米の味を良くしてくれるのかもしれない。残念なことにオブジェのように残った形の良い一列はすでに切られてしまった。稲を干す必要性が無くなった新潟平野のオブジェ群は、ほぼ新潟県内にしかなかったという点で、火焔型土器の分布にも似ている。時代は違っても生活の中で厳しい自然と相対する中から生まれた個性的な形は新潟の共通項だと思える。
photo by Nakamura Osamu