親不知といえば最近はヒスイを拾える海岸として有名になった。ヒスイという言葉自体なんと神秘的な響きだろう。かつて親不知子不知海岸に他の道はなく、波の穏やかな時に断崖の底を歩くしかなかったらしい。写真で見るように美しい海岸なのに親も子も通行することが難しく、後ろを振り返ることさえも難しかった。平安の昔「親知らず 子はこの浦の波枕 越路の磯の泡と消え行く」とうたわれたと。撮影した日の前日は海の底が洗われるようなシケのせいで水が白濁しヒスイ色に発色。後にも先にもこのような色を見るのは初めて。おかげでヒスイを見つけるよりも滅多にないタイミングでカメラに収めることができたような気がします。
photo by Nakamura Osamu