雪が消えた後、新潟の春は次から次へとさまざまな花が咲く。桜が散るころ新潟の野を彩るのはチューリップ。棟方志功が新潟に降り立った時にオランダのようだと語った。新潟は広々とした低地が多い風景を見てのことだったと思う。チューリップは大正時代にオランダから球根を輸入して栽培し始めたのが日本での始まりだと言われている。新潟に撮影に来たオランダ人の写真家から頂いた写真集には広がる畑と水路、そしてハザ木のように区画をしきる並木の伸びやかな風景写真が何枚も収録されていた。私が案内した場所で平地平野部は好まなかった。考えてみれば、たしかに海外まで来てチューリップの畑が広がるような場所を求めはしないだろう。
PENTAX67 300mm
©️photo by Nakamura Osamu